A 〔つづき〕 『中心』とか『攻め』という言葉上の理解も重要なのですが、ご自身の場合、恐らく打つ時に、左足(後ろ足)の引き付けが不十分で、ご自身の体型(身長や手足の長さなど)や身体能力上、無理した位置から踏み込んでいるのではないかと思います。そのような状態で、何とかして早く打ってやろうと思い、気持ち的にもあせって(あるいは、相手にあせらされてから)動作が起こっているので、微妙に自分の身体が右斜め半身になって、相手の身体から遠く離れた位置に自分の左足(後ろ足)を残したまま、右手主導で打っているのではないかと推察します。
B 〔つづき〕 剣道(中段・正眼を前提)では、右足(前足)は攻め足として使い、左足(後ろ足)は踏み込み時の起動エンジンとして使います。また、剣道で足の一歩とは、『右足・前+左足・前・引き付け』がセットになって、はじめて一歩です。右足のみ前で、左足はその場に固定、というのは、高度の攻めの展開ではありますが、右足で攻めの気分を出しつつも、左足は後ろで逃げというか防御を確保するような動きなので、若い時には、そういう左右の足の股が広がるような足捌きは、後の成長に弊害(技が出ないとか、大技が出来ないとか・・・。多くの場合、正面一本技が出来なくなります。)を来たすことが多く、良くないと思います。
C 〔つづき〕 当然、右足を前に出せば、その分、相手には、近づいたように見え、相手にとって打ちやすい間に入り込むことになる訳です。一方、左足(後ろ足)の引き付けを伴えば、同時にそれは自分にとっても相手を打突する射程距離内になるということでもある訳ですから、それだけ『左足(後ろ足)の引き付け』は大事なものです。 しかし、多くの場合、自分が自己の打突射程範囲に入っていることを忘れ、というより『先(せん)の気分』が足りずに、相手に打たれるのでは・・・という警戒感の方が上回ってしまって、それに恐れたり迷ったりして、この『右足・前+左足・前・引き付け』という時間的な格差を、空間的・位置的・心理的な意味でも、許容できず、知らないうちに、左足(後ろ足)の引き付けが、右足の動きに歩幅的にも動く速さ的にも、劣後して連動性が伴わなくなり、結果として、左足がかなり後ろに位置付けたまま打突するということになってしまいます。ただ漠然と相手に距離的に近づけば打突できるものではありません(相手も動き反応するからです。)から、充実した気勢が必要で、相手の気勢に負けない気位が必要で、『先(せん)を取る』という『攻め勝った後の打突』が要求される訳です。
D 〔つづき〕 ご自身の場合、右足(前足)が前に進むほど、左足(後ろ足)が引き付けられておらず、左足を後ろに残したまま打っていると思われるので、左足をしっかり腰を入れて打てる位置まで引き付けてから打つ、まずは『送り足』の動きをきちんとして打つ、それでもまだ不十分ならば、『継ぎ足(後ろ足を前足の位置まで引き付ける)』を使って打つ、などのお稽古をしてみてはいかがでしょうか。そうすれば、おのずと半身も解消され、左手(恐らく左拳だと思いますが・・・)の位置やフワッと感やズレ感も修正されると思いますし、ぐっと入って打つことも出来ると思います。