剣道人口増やしたいロゴ
なんでも掲示板のトップページ > 過去ログ > スレッド閲覧

審判員の気持ち。
日時: 2007/08/09 00:49:22
名前: 凛美優

剣道錬士、男性、初です。私は、過日、日本武道館で全日本少年武道剣道練成大会があり審判員として参加しました。この大会は小学生の大会で剣道の基本を重視し、一般の試合の他、基本技(切り返しと打ち込み稽古)の判定試合がある特色的な大会です。私はこの大会に毎年審判員として参加させて頂いています。この大会にくると、私はいつも感動して涙が出そうになります。子どもたちの入場行進や試合とかを見ていると、自分の幼少期を思い出し、そして子どもたちの表情や動きから、その子の気持ちが手に取るように分かってしまうので、嬉しくなってそうなります。いい歳したおじさんが恥ずかしいのですが。
私は、今まで東京都剣連や全剣連主催の審判講習会や指導者講習会等に参加し、社会体育指導員中級資格も取って審判技術を学んできましたが、何回受講してもやはり完璧な審判の判断はまだ出来ません。何度も何度も審判をしても百点満点完璧という域には、まだ達したことがありません。子どもたちが真剣に剣道を学び、その成果を披露している姿を見て、その責任の重さを毎回感じながら審判をし、この大会でも剣道試合審判規則等をすべて復習確認して、事前申し合わせ事項も押さえて審判に臨みました。
剣道審判員には所作等たくさんの決まり事があります。旗の持ち方や揚げ方、表示の仕方、移動の仕方、適正な立ち位置等、ご父兄や子どもたちには分かりづらいかもしれませんが、もう一杯あります。それに加え、剣道技術や剣道理合を理解した上での見極めが必要です。剣道はスポーツではなく武道ですので、所作礼儀や理合というものを常に重んじるため、他のスポーツと異なり、審判専門員のような人はおらず、原則として、5段の試合者は6段以上、6段の試合者には7段以上というように、必ず剣道実践者が担うことが理想とされています。試合者が繰り出す技を審判員が自己の剣道実践で一度も経験していなければ、その技が真に有効打突となるか判断できませんので、審判員も常に剣道修業を実践していなければならないのです。
その大会ですべての審判員がそうであるとは言えませんが、少なくとも私のような審判員もいるということをお伝えします。この大会での審判は、本当に緊張し、ハッキリ言って精神的に相当疲れます。未熟者である証なのでしょうが。子どもの真剣さが読み取れるが故に、本当に必死で審判してます。私自身どんなに自信があっても、やはり心の隅に、自分の判断にもしもミスがあり、それが元でその子どもが剣道を嫌になって止めてしまったらどうしようと常に不安となる気持ちが今でも払拭できません。
監督の先生やご父兄の方々には、是非、次の点を子どもたちに易しく教えてあげて欲しいと思います。1.審判員の判定は、その試合では規則上絶対ですが、その試合の中での赤と白の単なる相対比較であり、その子どもの技術や剣道の質を否定するものではないこと。2.審判員の判断基準も全員完全一致しているものではなく、あってはならないが物理的に判断ミス(誤認や錯誤等)もあること、3.剣道には試合審判規則と細則の他、運営要領の手引きとその時々の試合における申し合わせ事項があり、その内容の事前把握が大事だということ、です。
この大会で、先鋒から大将まで全員、基本技判定3−0で負けたチームがありました。しかしそのチームはしっかりと基本技を習得していて、むしろ大変立派ものでした。負けたチームの子は皆ずっと泣いていました。悔しい涙だと信じたいのですが、私には悲しい涙ように見えました。正直、心が痛みました。たまたま相手チームと比べ僅差のレベルで劣後しただけ、どちらが優勢かという相対判断なので、やむなくほんの少し上手な相手に旗が上がっただけなのです。審判判定は、どちらですか、という二者択一の結果のみを表示するものなので、個々のレベルを判定するものではありません。それを先生やご父兄が見て子どもたちに是非しっかりと伝えてあげて欲しいのです。私が言うのも僭越ですが、剣道は範士になっても不完全でなお修業しているものですから、剣道には行き着く完全完璧はないのです。ですから幼少年剣士には、否定ではなく、どの子にも必ずあるいい所を見つけ出し、それを指摘してその子に認識してもらうようにして欲しいのです。決してすべて負けてるんじゃないよって。審判員が評価できないことを、先生やご父兄がしっかり評価して誉めてあげて欲しいのです。
私は、この大会の審判で一度ミスをしました。おそらく当分忘れられないと思います。白の子が小手を打ちそれをすり上げ赤の子が面を打ちました。私のもろ眼の前でしたので即座に赤の子の面技が有効と私は認定しましが、その赤の子が白色の剣道着を着ていたため、私は誤認してとっさに一瞬白旗を途中まで上げてしまい、間髪入れず赤旗を上げ直しました。すると他の副審2名が無効と表示したので、宣告もなく一本になりませんでしたが、その白の子が私の途中まで上げた白旗を一瞬みて自分が一本を得たと誤認し、試合を中断して開始線に戻ろうとしました。それを赤の子が見てあらためて面を打ち、それが一本となってしまって、その白の子は負けてしまいました。その子は試合後にしくしく泣いていて、私が一瞬旗を上げ間違えなければ、この子は負けなかったかもしれないのにと、ものすごく落ち込みました。主審の宣告がなければ、いかなる旗表示も未定となってはいますが、子どもの試合でもあり、自分の審判の不手際を本当に反省しています。その子が剣道を嫌にならなければいいのですが。こんな審判員もいるので、是非、試合審判規則等を早い段階で先生やご父兄が子どもに易しく教えてあげて下さい。幼年少年剣士は、皆、純粋です。それに、我々大人は、純粋に真摯に真心を持って接しなければなりません。

Page: 1 |

Re: 審判員の気持ち。 ( No.1 )
日時: 2007/08/09 08:56:55
名前: しま< >

凛美優先生、うちの娘が錬成大会に出場していました。夏の錬成は初めてです。もちろんBチーム。五月の連休明けから鬼監督の特練を受け、基本稽古に頑張ってました。その成果あって基本の判定は全員3-0で5勝をあげ、続く一本勝負では1勝しか出来なかったもののトータルで勝ちでした。ああいう試合があると、普段試合で勝てなくても基本をしっかりとやっていれば!と子供らの励みになりますねぇ。基本で勝った五人はあれから稽古の態度も一変しました。切り返しがしっかりしている。打ちが強い。残心がしっかりしてきた。錬成で学んだものは大きかったようです。ところで、私はまだまだ市内の大会でしか審判は出来ませんが、凛美優先生のお気持ちはとてもよくわかります。どんなに熟練しても審判される時のお心構えに感動いたしました。数年前、少年剣道大会で次男とその友達が対戦し勝てば決勝、勝負の一本の時、二人は相面をうち旗が紅白一本ずつ、私は瞬間、次男でない旗を揚げました。審判の立ち位置でそういう状況になりましたが、私は次男の面が入ったと思った。勝てば決勝。私は友達の旗を上げてしまった。審判を退いてから先生に「一瞬迷って親になったね?かわいそうに。母ちゃんも修業がたらんなぁ」と言われました。帰宅して次男に思わず謝りました。「もういいよ。母さんの気持ちは少しわかる」と言われ涙が出ました。審判の重み辛さ重責を痛感した試合でした。まだまだこれから私も修業を積み、一生剣道を続けていく中で正しい審判が出来るように凛美優先生を今回の言葉を胸に刻んでおきたいと思いました。
Re: 審判員の気持ち。 ( No.2 )
日時: 2007/08/09 21:26:12
名前: 大根ママ

凛美優先生 こんばんは。
私は 二人の息子と剣道を通して共に成長してきたと思っている母親です。
自分自身は剣道をしてはいないのですが 共に道場に通い
共に試合場に有り 良くも悪くも息子達を見つめ続けてきました。

お話をききまして涙が出ました。
試合に出場する側の気持ちばかりに捉われて
審判をなさる方の気持ちを考えた事がなかったと言うのが本当のところです。
これほどまでに子供達の事を考えて審判されていようとは!感動です。
これからは審判される先生の思いが分かる気がいたします。

私が剣道が好きです。
息子達も今は離れているもののなぜか二人とも剣道したい、と言う気持ちを持ち続けています。剣道とはそうしたものなのかもしれません。
凛美優先生の思いはきっと伝わって剣道人口が増えてくれると思います。

しまさん、お子さんの大きさに涙です。

Re: 審判員の気持ち。 ( No.3 )
日時: 2007/08/11 00:35:37
名前: だみ声< >

凛美優さん
 長文のご意見、出張先のパソコンで読み、自宅で再び2回読ませて頂きました。
審判業務に、本当に真剣に取り組んでおられる様子がうかがえて、大変嬉しく思いました。

結論は、>「幼年少年剣士は、皆、純粋です。それに、我々大人は、純粋に真摯に真心を持って接しなければなりません。」
の一行に尽きると思います。

私も、審判講習会は、予定の許す限り毎年受講しております。 何回受講しても、これで良いとは決して思えません。

審判規定と細則は、いつも持ち歩いて、確認しておりますが、ミスジャッジの無いよう本当に緊張します。

講習会でも言われることですが、緊張感のある審判が、その試合の質をも左右するのも事実だし、審判業務はかなり疲れますね。

長文ではありましたが、意義のある内容に拍手を送ると供に、更に自分の旗の上げ方に十分責任を持って臨みたいと思います。 ありがとうございました。

しまさん
 あえて身近な選手への旗は、重くなるものです。しかも決断の時間は、わずかです。 これも大切な「修業」なのです。 優柔不断は許されませんからねえ。  
Re: 審判員の気持ち。 ( No.4 )
日時: 2007/08/13 14:32:10
名前: とらのすけ

こんにちは。

私のチームも参加しておりました。3回戦まで進んだようで、2回戦で勝った子供の保護者が感極まり涙した人もいたようです。

そんな中で凛美優さんのように心から審判をして下さる先生方もいらっしゃるという事は本当に有難いというか、心強いです。

実際、審判をする時には全国大会でなくても技も心も充実させて望まなければ、見逃してしまいやすい場合があります。

凛美優さんのお心は皆さんに伝わっていると思います。
これからも宜しくお願いします。


ちなみにしまさんと同じような経験を私もしました。
全国では同じような経験をされている先生方は激多数だと思います。
一つ一つの修行ですよね。

Page: 1 |