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日本剣道形四本目について教えてください
日時: 2010/04/24 10:29:27
名前: kenoken

先日、出張先で出稽古にいきました。ほんと剣道に真面目に取り組む、また米人の多い道場です。稽古の後、日本でもあるように近くのレストランに食事(主目的はビール)に行ったときの話しです。

「剣道形四本目で切り結ぶ際、刀は相手に届いていないがなぜですか? 打太刀が、攻めたところで両方が合い上段になり切り結ぶわけですが、なぜ打太刀は自分の刀が届かないと分かっていて、あえて攻め、仕太刀に打たせるのですか?」

ご存知の方居られましたら教えてください。
宜しくお願いいたします。

勉強熱心なアメリカ人が多く、冷や汗ばかりです・・・(汗)。

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Re: 日本剣道形四本目について教えてください ( No.1 )
日時: 2010/04/24 15:47:58
名前: 旧牛若丸

切り結ぶ時は四本目で大きく踏み込むので相手に届くと思いますが...

まず打太刀が小さく前進するのは脇構えをしている仕太刀の刀が見えない為
刀身の長さが分からず疑心暗鬼になり恐る恐る前進すると聞いております。
お互い上段なった際、その時点で仕太刀の刀身の長さが定寸と分かり
相手に届くよう大きく右足を踏み出し打突をしますので届かない訳がないと
判断いたします。
他にご意見をお持ちの方はご教示お願い申し上げます。
Re: 日本剣道形四本目について教えてください ( No.2 )
日時: 2010/04/26 01:55:13
名前: 凛美優

『kenoken』先生。

なるほど。それは難しい質問ですね。外国の人は、とにかく理論的に物事を考える傾向が強いので、『何故、届かないと分かっていて…』って。本当に外国人らしい疑問だと思いました。(私、外資会社に勤務していますもので…)

大日本帝国剣道形の原文にも、ストレートには書いていませんが、武専出身の私の師がよく言われていたことを記そうと思います。

疑問は2つですね。
@ 初めの打ちで何故刀が相手に届かないか。
A 届かないと分かっていて何故打つのか。

形4本目は、2種類の構え、大技、巻き返し、という3つを体現したものです。まず@ですが、相互の2種類の構えは、各々の刀身の長さや攻撃の間合いが相手に悟られないように、やや左半身(八相の構え)と左半身(脇構え)に構え、刀身は斜めあるいは背に隠して見せない状態で、かつ歩み足も相対的に大きく進みずらい状態の中での相互対峙です。その複合的状況から、目測を誤るものの、大技によってそれを解消しようとする正面打ちを繰り出し、相切り結ぶという展開だと聞きました。
そしてAですが、『届かないと分かっていて』ということではなく、本来は相互に『届く』と思って打っているのではないかと…。でも構え等のあり方から結果として『届かなかった』、でも相気で打太刀は先の気分が持続し、仕太刀は更に相気でそれを向かえ打つ、という状況設定なのではないかと思います。

切り結びの位置も、両腕のしっかり伸ばした状態で大技として正面を打つのですから、刀同士が交差している点は、各々の刀身の中心よりもやや自分寄りになっているのでないかと思います。切り結びの時は、相互に相気で十分な気位対等の状態です。相互に気位十分のまま、中段に自然となるので、機を見て打太刀が再び攻撃する訳です。そして巻き返し正面と展開されます。

『打太刀が、攻めたところで』とか『あえて攻め』と、ご質問にありますが、
『攻めたところで』ではなく『機を見て』だと思います。そして『あえて』という考えはなく、対峙している2人は、相気の状態ですから、初めの正面打ちも、打太刀は仕太刀に『打たせる』のではなく、打太刀の気に応じて仕太刀も相気で気持ちが呼応してぶつかって行っている状態だと思います。切り結び、相中段になるのも、同じ状態です。

八相の構えは、相手の首・肩部分等を直ちに斬る構えで、身体八箇所を斬り込める構えと言われています。攻めは『後の先』の技が主体で、相手の動きに応じて変化することを前提としたものと言われています。

脇構えは、相手の脇の下部分を狙って斬る構えで、刀身を隠し、大きく前方へ斬り込んだり、小さく斬り込んだりと、強い攻撃的な構えと言われています。

4本目は、構え、大技、巻き返しがポイントの形です。
Re: 日本剣道形四本目について教えてください ( No.3 )
日時: 2010/04/25 11:56:15
名前: kenoken

旧牛若丸さん、

ありがとうございます。
今一度日本剣道形を見て確認したのですが、
やはり相手の面には刀は届いていないと思うのですが、どうでしょうか?
相手の面に届くほど踏み込んだ場合、刀の中央あたりで切り結べないのではないでしょうか?

凛美優先生、

ありがとうございます。
と言うことは、届かないと分かっていて打ちに出るわけではなく、目測を誤って打って出た結果、切り結んだ状態となり、そこでもなお気を切らないで打太刀が次の技を出すんだよ。という説明で良いのでしょうか?

彼(アメリカ人)は、自分の刀の長さは分かっている=この位置から打ちに出ても届かないと分かって打つのは(?)と感じているようです。

攻めではなく、「機を見て」ですね。分かりました。
しかしこの相気という言葉の意味をうまく伝えるのがまた難しいです。
(私も未だ100%理解できていませんが…、苦笑)

ありがとうございました。
Re: 日本剣道形四本目について教えてください ( No.4 )
日時: 2010/04/26 01:54:38
名前: 凛美優

『kenoken』先生。

剣道形は奥が深く、理屈ですべてを説明することはできません。やはり刀で対峙して体感しないと伝わり切れないところがありますね。

概ね、そのご説明で私はいいと思いますが、厳密に言うとまだ実は説明不足でして、可能な範囲で私なりの言葉でお話ししますと…。

まず『切り結び』それから『(その状態から)自然と中段になる』という状態が一体どういうものか、ということを体感して頂く必要があります。

一応『切り結ぶ』ではなく、『十分な気勢で正面を打ち込む』、その直後に『切り結んで(つまり一過程)』から『相打ち』となるのです。なので『切り結び』は、形の目指すべき状態ではなく、あくまで『正面』の『相打ち』の結果に生じるやむを得ない一つの状態です。

『正面』を『諸手左上段』になってから、ズバっと大技で打ち込む訳ですから、そこにはもの凄く強い気がこもっています。その念は、『狙った正面(つまり頭上の中心)』を相互に斬りに行く訳なので、相互の身体中心線が一直線になり刀身の軌跡もその線状に一致すれば、刀の刃同士がぶつかる訳です。それが限界的に相互の刀身の左鎬を相互に斬るような状態で、刀でやると高いシャリンっ!って音がする状態です。でも切先は相手に届かない、両腕も伸び切っている、そこから守るべきは自己の中心線、そして位置取りとして攻め取るべきは相手の身体中心線、という展開です。とても短い時間の中のストーリーですけども…。

それを相互に行うので、切り結んだ交刃の点でお互いに力が集中し、磁石でくっついたみたいに離れません。その状態で、相互の両腕が中段の位置まで降りてくるのです。当然、その際は、申し合わせとは言え、理合の体現ですから、やるかやられるかの真剣な無心の緊張を相互に持ってしかるべきです。気位は対等です。

中段に戻った時に、打太刀は相手の右胸(肺の部分)を突きますけど、この突きは、形の説明には書いてませんけど、実際の演武では、仕太刀が今まで交刃の点に力を込め、中心線を維持していたところ、仕太刀の右(打太刀の左)側に突然にふっと力を抜き、自分の右胸(肺)を突きやすくすると上手く出来ます。突然、力を緩めると、打太刀も自己の刀の刃が自分の右下に向き突きやすいですし、仕太刀は、自分の刀の左鎬で巻き込みやすいです。

本来は、打太刀が師の位ですから、仕太刀がリードするというのもちょっと違和感ありますが、演武の時にはそれがいいですね。

相手の刀身の長さと相手の斬れる間合いは、本来は一目では絶対に分かりません。ですから、アメリカ人の剣士の方はそこが認識が違っていたのかもしれませんね。

あと『機を見て』という状態は、言葉では確かに難しいですね。無理に言葉で言うと、自分主導の攻めの気分の中から『よしっ!今だっ!』って決心する機会のことですかね。剣道形は、漠然と順番どおりに器械的にするものではなく、あくまで想定された理合の体現・演武なので、その気持ちの変化も、見ている人に伝わらないとダメですね。

この間、東京都の剣道形の大会があり、4・5段の部で決勝に出た民間の女性剣士がいましたが、その人の形は極めて立派でした。その高い水準は、私も初めて見ました。率直に優勝したかなと思いましたが、結果は2位でした。個人的には6・7段の部よりも上手なのではないかと本気で思いましたけど、そういう感動を見ている人に体現出来るほどに理合を追求するのが、剣道形だと思うのです。

言葉は本当に難しいですが、体現、体感という点も是非念頭に置かれて、ご指導されるといいのではないかと思います。
Re: 日本剣道形四本目について教えてください ( No.5 )
日時: 2010/04/26 11:14:04
名前: kenoken

>中段に戻った時に、・・・中心線を維持していたところ、仕太刀の右(打太刀の左)側に突然にふっと力を抜き・・・

これは当道場の先生から聞いたことがあります。

ただ実際の形審査の時に相手が同じように理解していないと、結構焦ってしまいますよね。切り結んだときに相手の刀に全然力が入っていなくて「あれあれ?」って感じで・・・。

ありがとうございました。

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