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質問です
日時: 2010/05/17 14:34:53
名前: 剣風

先日、中学生の娘の剣道試合をみておりまして一つ疑問に思った
事があり質問させて下さい。

ある試合で、上位入賞した選手がいるのですが、試合内容が
自分から打ちに行かず、すべての技が「カウンター狙い」なのです。
ひたすら相手の攻撃を待ち、その技に応じて一本を入れると言った
試合内容です。
上位入賞をする選手ですから打ちも的確で速いのですが、自分から
攻めないパターンを貫いています。
この為、個人戦では、ほとんどの試合が延長戦となり、相手が打ち疲れ
たり、じれたりして、打ち込んだ所で返し技が決まると言った繰り返しです。
この為、団体戦ではその選手の試合は、ほとんど引き分けとなります。

娘は、剣道の先生から「技をしかけたり、相手を崩して攻めたり
自分から攻めることが大切」と教わっているので違和感を感じて
いるようです。
私も、この選手の試合は全然面白くなく、果敢に攻める相手
を応援したくなりました。
別に、派手な見ていて面白い剣道を意識して欲しいとは思いませんが
自分から仕掛ける攻めるといった事が必要なのではと思います。
野球で言う「敬遠」も一つの戦法であり反則でもないので否定は
出来ませんが、剣道ではこのような戦法を取り続ける事は
許されるのでしょうか?
また、このようなタイプと試合するときはどう対処すべきでしょうか?
剣道素人の素朴な疑問ですがよろしくお願いします。

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Re: 質問です ( No.1 )
日時: 2010/05/17 17:20:12
名前: たく

たくと申します。たまに現れます。

ご覧になった戦法は試合をするうえでなんら反則行為ではないと思います。
お書きになっている通り、相手が打ち疲れたら攻撃、焦れて雑に打ってきたところをカウンター。 なるほど一つの攻撃パターンですね。

ただし、こういう攻撃が好きか嫌いかと言えば人それぞれだと思います。

待つタイプにはやはり攻めが必要だと思います。
また、フェイントなんかも有効かな。
Re: 質問です ( No.2 )
日時: 2010/05/18 00:42:58
名前: 凛美優

『剣風』先生。はじめまして。

ご指摘の選手の試合運びについては、頂いたご説明だけではよく分かりません。理合に合っているか否か、実際に見てみないと分かりません。

文字だけから判断すると、『自分から打ちに行かず、すべての技がカウンター狙い』で『その技に応じて一本を入れるといった試合内容』というのは、十分、剣の理合に適っています。
また『相手が打ち疲れたり、じれたりして、打ち込んだ所で返し技が決まる』
というのも、打突の機会として理合に適っています。

しかし『ひたすら相手の攻撃を待ち』とか、『個人戦では、ほとんどの試合が延長戦となり』とか、『団体戦ではその選手の試合は、ほとんど引き分けとなります』とかは、剣の理合に反しており、相当に問題だと思います。

剣道の試合審判規則には、禁止行為を規定しており、その中に『故意に時間の空費をする』というのがあります。従って、審判員がきちんとその規定に基づき審判をしているとすれば、それに当りませんが、厳格にそれを適用していない審判が散見されるのも事実です。『空費』とは、一言で無理に言えば、合気を外し『打突の機会』を作り出すめの『攻め』等の行為を行っていない状態です。例えば、鍔競り合いを執拗に長くし、相互の打突の機会を喪失させるとか、遠間や防御の姿勢を維持し技を出さないとか、逃げの姿勢をとるとか、そのようなものです。また何秒以上何もしないと…、という時間的な問題ではなく、審判員が見て明らかにかかる姿勢や態度をとっていると判断される場合には、時間の長さに関わらず、反則となります。

実際の試合を見ていないので、何とも言えませんが、いつも同様な試合運びという点に鑑みると、時間の空費の疑いは払拭し得ません。

また『技をしかけたり、相手を崩して攻めたり、自分から攻めること』という教えは、その通りですが、きちんと理解するべきは、『技をしかける』ことと『攻め』というものは同じではなく、全く別々のものです。更に『技をしかける』の『技』とは、単に打突をすることだけではありません。それらを中学生なりに理解しないと、妥当なものもおかしく見えるし、おかしいものも妥当に見えてしまいます。

少し専門的な言葉になってしまい恐縮ですが、詳細はご指導されている先生に伺って頂ければよろしいかと思いますが、敢えて一言で言うと、『技』とは、『気剣体』『心気力』『一眼二足三胆四力』等の教えにある一つ一つの構成要素が複合的に合成されたもののすべてです。『しかける』とは、『先(せん)を取る』ということです。『相手を崩す』とは、自らが主導的に常に先を取り、相手に先を取らせず、対峙する相手に常に自己を優位に置く状態です。『攻め』とは、相手に『剣道四戒』の状態を生じさせ、相手を追い込む、または相手の打突を引き出し、『打突の好機』を生み出す自らの行為のすべてです。

中学生ならばもう有段者になっている人もいますので、少しは分かるはずです。お互いに何もせずじっとしていて、取りあえず相手が打ってくるという展開と、自分が剣先を小刻みに動かし間合いを小刻みに詰めながら動き、それに反応して相手が堪らず打ってきたという展開と、相手が打ってきたという事実は同じですが、本質は全く異なります。娘さんの剣道の先生は、後者の方を推奨しているのです。そして、後者の展開において、打ってきた(あるいは打ってこようとした、あるいは打ってこようとしている)相手に対し、出頭、抜き、応じ、返し、押さえ、乗り、払い、張り、打ち落とし、刷り上げ等の技を出してくださいって言っているのだと思います。ただ、自分から取りあえず一方的に打っていこう、というのとは全く異なるものです。

最後に、攻めももなくじっとして相手が打ってくる時にだけにカウンターで来る選手には、やはりそのカウンターを逆に引き出し、それに対処すればいいのではないかと思います。その対処方法で有効なのは『溜め』だと思います。一連の攻めから打突だと、相手がその流れを予見し、それに反応するので、それを一瞬錯乱させるために、攻めて相手におっ来るなって思わせても、すぐには打突せず、ごくごく僅かな間を取ることを『溜め』といいます。『溜め』のある『攻め』と『技』があると、一瞬相手はどこを防御しどこを狙えばいいのか分からなくなり、相手の隙を誘発するものです。相手のカウンター狙いの技を先に引き出し、出小手や面返し胴など有効になると思います。中学生でも十分に出来る技です。是非、試してみてください。
Re: 質問です ( No.3 )
日時: 2010/05/18 10:13:41
名前: 三剣士おかん


 剣風様 はじめまして、三剣士おかんと申します。


うちの末娘も中学剣士で、このような返し技タイプの選手には泣かされております。

これも正当な攻め方だと感じます。言うなら「負けない剣道」でしょうか。

しかし、たく様がおっしゃっている 好きか嫌いか と言えば、

好きではありません。(個人的に・・です)

娘の方は、どう感じているのか分かりませんが、ただ黙って悔しがっておりました。

長年彼女を見てきたおかんには、自分に無いものを相手が持っていた、そして負けた、

その悔しさではなかったかと思います。

高校になれば、注意や反則を取られかねない戦法ですが、もちろん否定もしません。

ただ、勝ち負けではなく自分のめざす剣道を貫いて欲しいと思っています。

娘は今夏で部活引退ですので、悔いを残さず、完全燃焼して貰いたいです。



この場をお借りして失礼とは存じますが、凛美優先生 いつも的確なご意見

拝見させて頂いております。剣風様と同じく、私の娘も壁が越えられず悩んで

いるようで、凛美優先生のこの回答を読ませてやりたいと思っております。
Re: 質問です ( No.4 )
日時: 2010/05/18 22:02:16
名前: 凛美優

『三剣士おかん』先生。

書き込みのご返信、大変、恐縮です。『剣風』先生にも共通と思われるので、少し追伸です。

私、ここ数年、女性剣士とのお稽古や指導の機会が偶然に多くなったのですが、それを通じて感じることがあります。それは、女子の剣士は、経験の浅い方ほど、手首のスナップが利いた打ちを苦手としている傾向が強い、ということです。恐らく女性は非力で小さい方が多いので、竹刀が重いとか、長さが短すぎとか長すぎとか、目線や頭が上の方をを向いてしまう等が原因で、腕全体で竹刀を振って打とうとする方をよく見かけます。手首の動きをしなやかに活用出来ないと、相手の攻撃を受ける刹那に瞬間的な業を出しにくくなり、出頭技等が出せなくなります。

よって、打つ瞬間の両手首の動きを十分に活用するよう意識して、よりしなやかな動きが出来るように工夫してみるといいです。従前もコメントしましたが、例えば、相手の構える竹刀の下(相手の右拳のひとさし指の辺り)をめがけて、自己の竹刀の切先で、きゅっと一歩攻め入ると、相手がそれに反応して打ってきます。その際にあがる相手の腕に合わせ、出小手を手首利かせて打ち込む、というのも有効です。特に重要なのは、相手が打ってくるのを目視で確認してからでは、時間的に遅く、自分がこう攻め入れば、相手は面に出てくるという前提で、目視確認と同時に打ち込むというのが理想かと思います。

よく見ることは重要ですが、相手の動きを見てから、相手の動きを目視確認後に自分が対処する、という展開では遅すぎる場合があるので、十分な注意が必要です。

娘さんのますますのご活躍をお祈りします。頑張ってください。
Re: 質問です ( No.5 )
日時: 2010/05/20 17:06:28
名前: 剣風

皆様、返事が遅れて申し訳ございませんでした。

たく様
反則行為で無いと言う事は十分わかっているのですが。
フェイントなどは確かに有効かなと思います。
アドバイス有難うございました。

凛美優先生
本当に懇切丁寧な解説有難うございました。
拝読させていただき、、『技をしかける』ことと『攻め』というものは同じではなく、全く別々のものであるところ等は、素人では判らない、目から鱗状態でした。
上述したように、この選手の行為は反則ではないのかも知れませんが、私には
凛美優先生の言われるところの『故意に時間の空費をする』に限りなく近い状態では無いかと思います。「相手のカウンター狙いの技を先に引き出し、」
のところはフェイント等が有効なのかなと思いますが、『溜め』を持って「出小手や面返し胴が打てるよう娘に意識させようと思います。

三剣士おかん様
同じ経験を持つ同士として、共感できるコメント有難うございます。
私自身、上の子供が高校で剣道をやっていたので、高校なら反則を取られるのにと思っていました。
中学生とは言えせめて注意くらいあっても良いと思いますが、私も娘には「ただ、勝ち負けではなく自分のめざす剣道を貫いて欲しい」という三剣士おかん様の言葉を送りたいと思います。

ついつい相手の動きに対して、どうこう言いがちですが、剣道は基本的に自分
を磨き向上して行く武道であると理解しています。
相手が動かぬのなら、自分が動かし攻めるといった事は、中学生の娘にはまだまだ難しい領域なのかもしれませんが、親子ともども頑張って行きたいと思います。






Re: 質問です ( No.6 )
日時: 2010/05/23 01:28:07
名前: 凛美優

『剣風』先生。

試合を直接見ていないので断定は出来ませんけど、剣道のご経験が少ない方がご覧になって『時間を空費している』と感じるのであれば、私どもの参加している試合では、小学生の試合でも即座に反則となります。審判員は、試合観戦者の方よりもより近くで見ている訳ですから、その判断時間は、一般の人が見て感じるよりも圧倒的に早いですから。

剣道のいいところは、相手との勝ち負けという表面的な結果だけではなく、自分自身との戦いの勝ち負けという深く大きなテーマがありますから、交剣知愛の精神で、是非、頑張って頂きたいと思います。

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